
【2025年7月版】メキシコペソ円(MXN/JPY)為替見通し――金利差と関税リスクが交錯するスワップ戦略
投稿日: 2025年07月12日
概要
2025年7月時点、メキシコペソ円(MXN/JPY)は7.80〜7.90円近辺で落ち着く一方、24年の高値(9円台)から約10%調整した状態です。メキシコ中銀(Banxico)の利下げ進行と日銀の0.5%利上げで金利差はやや縮小しましたが、依然として7%超のキャリー妙味が残り、国内個人投資家の人気は高いままです。市場コンセンサスは「年内7.3〜8.2円のレンジ」「2026年にかけて緩やかな円高(ペソ安)」が中心。もっとも、トランプ政権の30%追加関税、原油安、双方の金融政策のタイミング次第で上下どちらにも振れやすい状況にあります。
1. 足元の相場動向
- 7月11日の高値は7.9072円、同月安値は7.6429円で月間平均7.79円。
- 7月10日時点のスポットは7.83円(USDMXN=18.61)。
テクニカル概況
- 200日移動平均線(7.55円)を上回り、短期的には戻り売りと押し目買いが交錯する「ボックス相場」。
2. メキシコ側ファンダメンタルズ
金融政策
- Banxicoは6月26日に政策金利を8.50%→8.00%へ50bp引き下げ、3年ぶりの低水準。年末までに7.50%へ追加利下げとの予想が優勢。
- 2025年の金融政策決定会合は8/7・9/25・11/6・12/18など残り4回。
経済・物価
- Banxicoは5月に25年GDP見通しを1.0〜1.8%から0.5〜1.2%へ下方修正、「著しい減速」を指摘。
- インフレは5月時点で4.5%と目標(3%±1)を上回るが、減速基調。
コモディティ依存
- 米EIAは25年WTI平均65.22ドルと予測、前年比▲20%でメキシコ財政に逆風。
3. 日本側ファンダメンタルズ
金融政策
- 日銀は1月会合で政策金利を0.50%へ利上げ後、6月17日会合まで据え置き。
- 政策委員は「次の利上げは成長回復を確認してから」と発言し、年内追加利上げ観測は後退。
物価・外部リスク
- 卸売物価は6月+2.9%で3か月連続鈍化、米国による25%関税の影響を警戒。
4. 金利差とキャリートレード
| 2025年7月時点 | メキシコ | 日本 | 差 |
|---|---|---|---|
| 政策金利 | 8.00% | 0.50% | +7.50% |
- 金利差縮小局面だが7%超のスワップは維持され、個人のキャリー需要は旺盛。
- ただしスプレッド拡大・提示金利引き下げで実質リターンは圧縮傾向。
5. 市場予想の比較
| 機関・メディア | 2025年9月 | 2025年12月 | 2026年3月 |
|---|---|---|---|
| exchangerates.org.uk | 7.50円 | 7.37円 | 7.23円 |
| CoinCodex(AI) | 8.60円 | 8.78円(平均) | 9.25円(上限) |
| MUFGリサーチ試算 | 7.0〜7.4円(25Q4〜26Q2) | — | — |
| Citi via FXStreet(USD/MXN20.9換算) | 約6.9円 | — | — |
モデル・前提が大きく異なるため、強弱感は分かれる。コンセンサス中央値は年内7.3〜8.2円。
6. リスクシナリオ
| 要因 | 円安(ペソ高)方向 | 円高(ペソ安)方向 |
|---|---|---|
| Banxico | 利下げ停止・物価再加速 | 追加利下げで7%割れ |
| 日銀 | 利上げ先送り | 早期追加利上げ |
| 米関税 | 撤回・縮小 | 8/1開始の30%関税長期化 |
| 原油価格 | 80ドル台回復 | 60ドル割れ・財政不安 |
| メキシコ成長 | 近隣移転投資が下支え | 成長率1%割れ |
7. 投資アイデアと実務上の留意点
ベースケース(レンジ取引)
- 7.3円付近は押し目買い、8円台後半は段階的利確。
強気シナリオ(円安)
- 関税緩和+原油反発で8.2〜8.5円を試す余地。ただし9円台にはBanxicoの利下げ停止が必須。
弱気シナリオ(円高)
- 原油急落+利下げ加速で6円台後半を想定。早めの損切り・ヘッジ検討。
オペレーション
- Banxico会合(8/7・9/25など)と日銀会合(7/31)が集中する夏場はポジション軽めが基本。
- スワップポイントは業者差が大きく、低金利通貨の受取り金利引き下げリスクにも注意。
- コモディティ(原油・銅)や米株(S&P500)との相関が高いため、関連市場も並行フォローが望ましい。
まとめ
メキシコペソ円は高金利の魅力と金利差縮小フェーズが綱引きする局面に入りました。年内は7円台前半〜8円台前半の「広いレンジ」を意識し、スワップを取りつつもポジション量とリスク管理を徹底することが鍵となります。政策金利・関税・原油の三大イベントを軸に、市場センチメントの急変に備えた柔軟な運用を心掛けましょう。




