
トルコショックとは何だったのか
投稿日: 2025年12月17日
トルコショックの概要
トルコショックとは、主に2018年8月に発生した トルコリラ(TRY)の急落を指して使われる呼称である。
この時期、トルコリラは短期間で大幅に下落し、 新興国市場や日本の個人FX投資家にも大きな影響を与えた。
事件の背景:なぜ不安定な状態だったのか
トルコリラは「高金利通貨」
トルコリラは長年、政策金利が高く、
- 高金利
- 高スワップポイント
が特徴の通貨だった。
そのため、
- 為替差益よりも
- スワップ収益目的の長期保有
で注目されやすかった。
経済構造の問題
2018年当時のトルコは、
- 高インフレ
- 経常赤字
- 外貨建て債務の多さ
といった構造的な弱点を抱えていた。
これにより、国際金融市場では 「リラは信認が揺らぎやすい通貨」と見られていた。
問題点:金融政策への不信感
中央銀行の独立性への疑念
当時のトルコでは、
- 政府が利下げを強く志向
- インフレ抑制より成長重視
という姿勢が目立っていた。
その結果、市場では 「必要な利上げができないのではないか」 という不信感が強まっていた。
事件の引き金:2018年夏
米国との関係悪化
2018年夏、
- 米国人牧師拘束問題
- 米国による制裁や関税強化
をきっかけに、トルコと米国の関係が急速に悪化した。
これが市場の不安を一気に表面化させた。
何が起きたのか
トルコリラの急落
- トルコリラは短期間で急落
- 対ドル・対円ともに大幅安
- 新興国通貨全体へ不安が波及
「トルコリラは危ない」という認識が一気に広がり、 売りが売りを呼ぶ展開となった。
なぜ日本の個人投資家が影響を受けやすかったのか
① スワップ目的の長期保有が多かった
日本では、
- 高金利
- 毎日受け取れるスワップ
を目的に、トルコリラ買い・円売りを 長期保有していた個人投資家が多かった。
② 為替差損がスワップ益を上回った
リラ安が進むと、
- 毎日のスワップ益より
- 為替差損の方がはるかに大きくなる
という状態に陥った。
③ 「高金利=有利」という誤解
- 高金利=儲かりやすい
- 長く持てば回復する
という期待があった一方で、 通貨価値そのものが下落するリスクは過小評価されがちだった。
ストップロスはどうだったのか
結論
スイスフランショックのような 瞬間的に市場が消えるタイプではなかった。
① 急落は「連続的」に進んだ
- 価格は段階的に下落
- その中でロスカットが次々発動
ストップロス自体は機能したケースが多い。
② ただし損失は拡大しやすかった
- 下落が長期間続いた
- スプレッド拡大
- スワップ益では補えない速度
により、結果的に大きな損失となった投資家も多かった。
結果と教訓
- 高金利通貨でも通貨価値が下がれば意味がない
- スワップ狙いは為替リスクを内包する
- 中央銀行や政治の影響は新興国通貨で特に大きい
トルコショックは、 「高金利=安全ではない」 という事実を突きつけた出来事だった。
スイスフランショックとの違い(整理)
- スイスフラン: 一瞬で起きた政策変更と市場消失
- トルコリラ: 構造問題+不信感が積み重なった結果の急落
同じ「ショック」でも、性質はまったく異なる。