オルカン・S&P500と高配当株を組み合わせる心理と現実 ― 日本の税制・FIRE前後・実際のリターン低下まで整理

オルカン・S&P500と高配当株を組み合わせる心理と現実 ― 日本の税制・FIRE前後・実際のリターン低下まで整理

投稿日: 2026年01月09日

なぜ「インデックス+高配当」が選ばれるのか(前提整理)

投資系YouTuberや個人投資家のポートフォリオを見ると、

  • オルカン or S&P500
  • 高配当株(ETF・個別)

を組み合わせている例が非常に多い。

しかし純粋に期待リターンだけを考えると、

  • 高配当(3〜4%)
  • インデックス(6〜8%前後)

であり、インデックス一本の方が有利に見える

この疑問に対して重要なのは、 「日本の税制」「FIRE前後での目的の違い」「高配当が実際にリターンを下げるケース」 の3点を切り分けて考えること。


日本の税制(配当課税)を考慮するとどうなるか

日本の配当課税は固定で重い

日本の上場株式・ETFの配当は原則として

  • 20.315%(所得税+住民税)

受取時点で自動的に課税される。

重要なポイント

  • 再投資しても 課税は回避できない
  • NISA枠を除けば 強制的に税金が発生

インデックス投資との税制上の差

インデックス(値上がり益中心)

  • 含み益の間は 非課税(課税繰延)
  • 売却タイミングを自分でコントロールできる
  • 長期保有ほど複利効果が働く

高配当株

  • 配当が出るたびに 即課税
  • 強制的に複利効率が削られる

📌 日本の課税環境では、高配当は構造的に不利 これは感覚ではなく制度上の事実。


税制面の結論

  • 資産形成期(取り崩さない期間) → 高配当は明確に不利 → インデックス有利

  • 取り崩し期(生活費に使う期間) → 課税されてもキャッシュフロー価値が出てくる


FIRE前後で「最適解」がどう変わるか

FIRE前(資産形成期)

目的:

  • 資産額を最大化する
  • できるだけ税効率を高める

合理的な選択:

  • インデックス中心
  • 配当を極力出さない設計

理由:

  • 配当は不要
  • 税金だけが確実に引かれる
  • 含み益の方が精神的にも数字的にも有利

📌 FIRE前に高配当を厚くする合理性は低い


FIRE後(取り崩し期)

目的:

  • 生活費の安定確保
  • 暴落時の心理的耐性

ここで高配当の意味が変わる。

高配当が役立つ理由

  • 売却せずに現金が入る
  • 相場下落時でも「収入がある」感覚
  • 取り崩し判断が単純になる

📌 FIRE後は「効率」より「安定性」が価値を持つ


FIRE前後の整理

フェーズ 重視すべきもの 向いている戦略
FIRE前 税効率・複利 インデックス
FIRE後 キャッシュフロー 高配当併用

「実は高配当がリターンを下げている例」

高配当=高リターンではない

高配当株はしばしば

  • 成長投資を抑えて配当を出す
  • 成熟企業・低成長業種が多い

という特徴を持つ。

その結果、

  • 株価成長が鈍い
  • インフレ耐性が弱い
  • 長期では指数に劣後する

というケースは珍しくない。


配当は「利益の前借り」

企業価値の観点では:

  • 配当を出す = 会社に残る資本が減る = 将来の成長余地が減る

📌 配当は「得をしている」わけではなく、 将来価値を現金化しているだけ


実務的によくあるリターン低下パターン

  • 高配当ETFを長期保有
  • 毎年配当課税を受ける
  • 株価成長は限定的
  • トータルリターンで指数に負ける

これは特定の商品に限らず、 高配当戦略全般に起こりうる構造的な話


それでも高配当が選ばれる理由(最終整理)

  • 数学的に最適 → インデックス
  • 心理的に続けやすい → 高配当

多くの投資家(特に発信者)が選ぶのは、

「理論上の最適解」ではなく 「最後まで続けられる解」


まとめ

  • 日本の税制では 高配当は不利
  • FIRE前は インデックスが合理的
  • FIRE後は 高配当の心理的価値が出る
  • 高配当は 長期リターンを下げる可能性がある

高配当は「優れた投資商品」ではなく、 「投資をやめないための道具」 この位置付けで考えると整理しやすい。