家計の金融行動に関する世論調査は信用できる? 調査方法の仕組みと限界をわかりやすく解説

家計の金融行動に関する世論調査は信用できる? 調査方法の仕組みと限界をわかりやすく解説

投稿日: 2025年12月10日

はじめに

「家計の金融行動に関する世論調査」は、ニュースや金融機関のレポートでもよく引用される、とても有名な調査です。 しかし読者からはよく、

  • インターネット調査って信用できるの?
  • 金融に興味がない人は答えないのでは?
  • そもそも本当に全国の実態を表しているの?

といった疑問が出ます。

この記事では、この調査がどう実施されているのか、そして信頼できる点と限界を、分かりやすく解説します。


調査しているのは誰?

実施主体は、金融庁や日本銀行が参加する公的色の強い団体です。

  • 旧:金融広報中央委員会
  • 現:金融経済教育推進機構(J-FLEC)

大学研究者向けデータベースにも提供されているほど、統計的な利用価値の高い調査です。


どんな方法で調査しているの?

① 対象世帯

  • 二人以上世帯:5,000世帯を目標にサンプルを抽出
  • 単身世帯:別枠で実施

年齢・性別・地域などの人口比率に近づくように「割当て設計」を行います。

② 調査方法

現在は主に インターネットモニター調査方式 です。 アンケートサイトに登録しているモニターに回答してもらう方法で、回収率が高く、継続的に実施しやすいのが特徴です。

過去には郵送・訪問調査も併用していましたが、近年はネット調査が中心です。

③ 調査内容

  • 預貯金・株・投信の保有額
  • 住宅ローン・借入の状況
  • 老後の不安、資産形成への姿勢
  • 金融知識・リスク許容度

など、家計の金融行動を幅広く把握できるよう、多数の質問が設定されています。


インターネット調査の疑問:金融に興味ある人しか答えない?

結論:その“傾向”は確かにある

インターネットモニター調査には、構造上こんな偏りが生まれやすいです。

  • そもそもアンケートサイトに登録している人
  • PC・スマホ利用に慣れている人
  • ポイント獲得のために日常的に回答する人

つまり、金融やアンケートに一定の関心・習慣を持つ層が多いということです。

一方、

  • 「金融って何?」という層
  • ネットに不慣れな高齢層
  • 金融リテラシーが低い層

は参加しづらく、回答者の中で過小になる傾向があります。


それなら、この調査は信用できないのか?

→ 信頼できるところと、限界の両方がある。

■ 信頼できる点

  1. 公的色の強い団体による長期継続調査 時系列で日本の家計行動の変化を見るには非常に強い。

  2. サンプル設計が統計的に整備されている 年齢・地域ごとのバランスを調整し、日本の人口構成に近づけている。

  3. 調査票・方法が透明で、大学研究でも使われる 個票データが学術研究に利用されている点は大きな信頼材料。


■ 限界・注意点

  1. ネットモニター層の偏りは避けられない 金融に無関心な層は捉えにくい。

  2. 自己申告ゆえの誤差 貯蓄額・投資額などは「ざっくり回答」が多く、特に高額層は誤差が大きい。

  3. 「日本人全体の真の平均値」ではない 絶対値よりも傾向を見る用途に向いている。


どう読み解けば良い?(実践的な使い方)

1. 絶対値は鵜呑みにしない

平均値や保有額の数字は“実測値そのまま”というより、回答者層の平均像として理解する。

2. 年ごとの変化を見る

  • 貯蓄ゼロ世帯の割合の変化
  • 株や投信の保有率の上昇 など、トレンドを見るときは非常に役立つ。

3. 金融に無関心層はもっと厳しい実態と想定して読む

特に貯蓄額などは、調査結果より低い水準の層が現実には多い可能性がある。


まとめ

「家計の金融行動に関する世論調査」は、 公的性の強い信頼できる長期調査ですが、 インターネットモニター方式の偏りは避けられないという限界があります。

そのため、

  • 絶対値ではなく傾向を見るための調査
  • 資産形成に関心のある層の実態を知る調査

として使うのがもっとも現実的です。

一方、「金融に無関心な層の姿」や「日本全体の真の平均値」を厳密に知るには、過度に信頼しすぎない方が安全です。