
家計の金融行動に関する世論調査は信用できる? 調査方法の仕組みと限界をわかりやすく解説
はじめに
「家計の金融行動に関する世論調査」は、ニュースや金融機関のレポートでもよく引用される、とても有名な調査です。 しかし読者からはよく、
- インターネット調査って信用できるの?
- 金融に興味がない人は答えないのでは?
- そもそも本当に全国の実態を表しているの?
といった疑問が出ます。
この記事では、この調査がどう実施されているのか、そして信頼できる点と限界を、分かりやすく解説します。
調査しているのは誰?
実施主体は、金融庁や日本銀行が参加する公的色の強い団体です。
- 旧:金融広報中央委員会
- 現:金融経済教育推進機構(J-FLEC)
大学研究者向けデータベースにも提供されているほど、統計的な利用価値の高い調査です。
どんな方法で調査しているの?
① 対象世帯
- 二人以上世帯:5,000世帯を目標にサンプルを抽出
- 単身世帯:別枠で実施
年齢・性別・地域などの人口比率に近づくように「割当て設計」を行います。
② 調査方法
現在は主に インターネットモニター調査方式 です。 アンケートサイトに登録しているモニターに回答してもらう方法で、回収率が高く、継続的に実施しやすいのが特徴です。
過去には郵送・訪問調査も併用していましたが、近年はネット調査が中心です。
③ 調査内容
- 預貯金・株・投信の保有額
- 住宅ローン・借入の状況
- 老後の不安、資産形成への姿勢
- 金融知識・リスク許容度
など、家計の金融行動を幅広く把握できるよう、多数の質問が設定されています。
インターネット調査の疑問:金融に興味ある人しか答えない?
結論:その“傾向”は確かにある
インターネットモニター調査には、構造上こんな偏りが生まれやすいです。
- そもそもアンケートサイトに登録している人
- PC・スマホ利用に慣れている人
- ポイント獲得のために日常的に回答する人
つまり、金融やアンケートに一定の関心・習慣を持つ層が多いということです。
一方、
- 「金融って何?」という層
- ネットに不慣れな高齢層
- 金融リテラシーが低い層
は参加しづらく、回答者の中で過小になる傾向があります。
それなら、この調査は信用できないのか?
→ 信頼できるところと、限界の両方がある。
■ 信頼できる点
公的色の強い団体による長期継続調査 時系列で日本の家計行動の変化を見るには非常に強い。
サンプル設計が統計的に整備されている 年齢・地域ごとのバランスを調整し、日本の人口構成に近づけている。
調査票・方法が透明で、大学研究でも使われる 個票データが学術研究に利用されている点は大きな信頼材料。
■ 限界・注意点
ネットモニター層の偏りは避けられない 金融に無関心な層は捉えにくい。
自己申告ゆえの誤差 貯蓄額・投資額などは「ざっくり回答」が多く、特に高額層は誤差が大きい。
「日本人全体の真の平均値」ではない 絶対値よりも傾向を見る用途に向いている。
どう読み解けば良い?(実践的な使い方)
1. 絶対値は鵜呑みにしない
平均値や保有額の数字は“実測値そのまま”というより、回答者層の平均像として理解する。
2. 年ごとの変化を見る
- 貯蓄ゼロ世帯の割合の変化
- 株や投信の保有率の上昇 など、トレンドを見るときは非常に役立つ。
3. 金融に無関心層はもっと厳しい実態と想定して読む
特に貯蓄額などは、調査結果より低い水準の層が現実には多い可能性がある。
まとめ
「家計の金融行動に関する世論調査」は、 公的性の強い信頼できる長期調査ですが、 インターネットモニター方式の偏りは避けられないという限界があります。
そのため、
- 絶対値ではなく傾向を見るための調査
- 資産形成に関心のある層の実態を知る調査
として使うのがもっとも現実的です。
一方、「金融に無関心な層の姿」や「日本全体の真の平均値」を厳密に知るには、過度に信頼しすぎない方が安全です。